2012年04月22日

どんな本でも大量に読める「速読」の本

[速読法] ブログ村キーワード

『どんな本でも大量に読める「速読」の本』を読了。
著者は速読勉強法などで有名な宇都出雅巳。

どんな本でも大量に読める「速読」の本
どんな本でも大量に読める「速読」の本


私が知っている限り、速読に「事前知識が必要だ」と喝破し、

かつ「内容を予測したり強い目的を持って読むことの弊害」を指摘しているのは、

本書の著者と苫米地英人だけです。



その意味で、本書の内容は類書の少ない独特なものだと思います。

とはいえ、類書の少なさは必ずしも内容に不安があることを意味しません。



それどころか、著者や苫米地英人が主張するように、

事前の予備知識こそが重要だということは真実だと思われます。



少なくとも世の大方の読書家にとっては、

すんなりと腑に落ちることでしょう。



では、どうやって速く読むための「事前知識」を効率的に吸収していくか。



この問題に取り組んだのが苫米地英人の一連の速読本だったり、

本書だったりするわけですね。



本書は今までの速読の常識をつき壊すことを目的に書かれているような本なので、

フォトリーディングなど既存の速読術に不満がある人ほど

この内容を消化できるのではないかと思います。

どんな本でも大量に読める「速読」の本
posted by こまち at 12:03| 速読法・読書法 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年04月09日

高田明典『難解な本を読む技術』

[読解] ブログ村キーワード

高田明典『難解な本を読む技術』(光文社新書)を読了。

本書は、思想書などの難解と呼ばれる書物を理解するための読書の方法を、本の選び方から下準備、通読、再読という4段階に分けて解説しています。

難解な本を読む技術 (光文社新書)
難解な本を読む技術 (光文社新書)

また、本編とは別に、後半5分の2くらいは付録となっていて、実際にどのような読書メモを作れば良いのかの実例と、難解と呼ばれる思想家のガイドを掲載しています。

ただし、そこで挙げられているのは概ねフランスの「ポストモダン思想」の思想家なので、「哲学者」の解説ではないです。つまり、内容よりも語り方が難解で、しかもその価値に疑問がある人間を取り上げていると見る読者も多いかと思います。さらに、著者が本当にそれらの思想家を読み込めているのかについても疑問があります。ぶっちゃけ、ウィトゲンシュタインの『論考』の読解にラッセルの解説文を勧めるというのは、ウィトゲンシュタイン本人も現代の研究者も、唖然とすることうけ合いです(;゚д゚)
ソシュールの仕事が意義深いのはたしかでしょうけど、著者が言うほど強い影響があったとはいえないかと。せいぜいフランス(と、それにかぶれた日本)くらいのローカルなものです。

このようにブックガイドについてはあまり信用出来ないのですが、書かれている読書ノートの作り方は参考になります。

また、「開かれた/閉じた」「登山型/ハイキング型」という本の分類、「同化読み/批判読み」という読み方の区別はかなり参考になるかと思います。個人的には「開かれた」本なるものが成立するならそれは文学だと思うのですが、対話篇とかハイデガーの書籍なんかを考えると、このあたりは程度の問題かもしれません。なので、区分自体は結構有益じゃないかと思います。

外部参照が必要かどうかは読者本人の知識レベルに依存するとか、著者が持っている想定読者層によっては「何が問題なのか?」すら既知のものとして語られないことがあるというのはそのとおりです。哲学書を読むときに背景となる文脈を知っておかないと、そもそも用語の使い方が現在と全く違っていたりするなど、混乱したり内容を誤解してしまうこともあります。こういう(論文とか哲学書を読む上では)当たり前とも言えることを指摘してくれている本って、案外少ないんですよね。

なので、大学生とか院生とかが大量の文献を読まされる中で暗黙のうちに習熟する「読解のための技術」を、本書はかなりの程度言語化できていると思います。速読などとは違って、論文などをじっくりと読み込む人文科学系の学生には有益なんじゃないかと思いますね。

付録であるブックガイドについてはかなり疑問がありますけど、本編についてはいい内容だと思います。そこはおすすめできるかと。

>> 難解な本を読む技術 (光文社新書)
posted by こまち at 23:26| おすすめ 新書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年04月04日

『中世哲学への招待』

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八木雄二『中世哲学への招待』を読了。

著者の八木雄二は1952年生まれの中世哲学研究家、哲学者。

中世哲学への招待―「ヨーロッパ的思考」のはじまりを知るために (平凡社新書)
中世哲学への招待―「ヨーロッパ的思考」のはじまりを知るために (平凡社新書)


平凡社新書から2001年に出版された本なのですが、

良書と名高いにもかかわらず絶版になってるんですよね。


例によってマケプレでは定価の3倍くらいの値段になってまして、

今の私にはおいそれと手が出せない価格なのですorz


本書の特徴としては、ヨハネス・ドゥンス・スコトゥスに焦点を当てつつも、

彼が哲学の前提となっている文化・時代背景や哲学的伝統、

さらには現代日本と西洋との常識の違いのようなことまで丁寧に記述している事が挙げられます。


スコラ哲学を理解する上で障害になるのは、複雑だと言われる論理構成よりも、

現代日本人と当時の哲学者の間に横たわる、文化伝統の隔絶の方なんです。


こればかりは海外の研究者による解説書を読んでも迂遠でしかなく、

日本人による丁寧なすり合わせが必要になるところなんですね。


一例をあげれば、「自由」という概念は古代ギリシアの

「奴隷⇔自由市民」という対比から把握する必要があって、

「自由市民」が美徳という概念と分かちがたく結びついている以上、

もともとの「自由」概念には徳目的な要素が不可欠だった、と。

故に、ミルが言う「愚行権」のような自由は、

ある時代まで存在しなかった、と。


こういうかゆいところに手が届く著作ってなかなか無いんですよね。

正直、平凡社ライブラリーに収録して欲しいくらいのいい本です。

>>中世哲学への招待―「ヨーロッパ的思考」のはじまりを知るために (平凡社新書)

posted by こまち at 13:53| おすすめ 新書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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